液体ミルク、97%が「使ってみたい」と回答 目的は外出や災害時の備蓄用【ニンプスラボアンケート調査】

ようやく日本国内での販売が開始された乳児用液体ミルク。最近では外出時に使用しているパパやママを見かけるようになるなど、順調に普及が進んでいることが伺えますが、本音ではどのように考えているのでしょうか。発売開始から半年が経過したタイミングで、妊婦さんとそのパートナー434名に乳児用液体ミルクの印象や使用状況などを調査しました。

2019年12月03日公開

トピックス

調査概要

**回答比率(%)は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならないことがあります。
*複数回答の質問については、回答比率の合計が100%を超える場合があります。

市場概要

乳児用液体ミルク(以下、液体ミルク)は2018年8月の法改正(調整液状乳関連法律の制定)を受け、2019年3月から日本での販売が開始されました。

2019年11月時点で販売しているのは明治(株式会社明治)とグリコ(江崎グリコ株式会社)の2社。缶入りで保存期間が常温で1年間と比較的長い明治の液体ミルクは全国約50の自治体が備蓄品として購入しているほか、先日、東日本で猛威を振るった台風19号の上陸直前には同様に備蓄品として購入する人が多かったようで、通常の2~3倍の売れ行きだったという報道がありました。紙パック入りで少量ずつ販売しているグリコの液体ミルクも、2019年9月から高速道路SA・PA60カ所で販売が開始され、当初の予測の3倍以上で売り上げが推移するなど、好調さがうかがえます。今後は雪印(雪印メグミルク株式会社)と森永(森永乳業株式会社)が参入に向けて動いているそうで、市場は拡大していくと考えられます。

しかし一方で、世界約50カ国で液体ミルクを販売しているネスレが「日本での販売は検討していない」と明言するなど、どこまで拡大していくかは未知数でもあります。

こうした現状を踏まえつつニンプスラボでは、これから液体ミルクを使うであろう妊娠中の女性、およびそのパートナーを対象に、液体ミルクに関するアンケート調査を行いました。

〈参考〉
●明治・グリコが参入の液体ミルク、普及が危ぶまれる「グレー」な理由 | inside Enterprise | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/219705
●乳児用液体ミルクを高速道路SA・PA60カ所で販売開始、江崎グリコ「アイクレオ赤ちゃんミルク」https://www.ssnp.co.jp/news/milk/2019/09/2019-0910-1617-14.html

調査結果

◆液体ミルクを知ったきっかけは「テレビ」が半数以上

液体ミルクのことを「まったく知らない」と答えた人はわずか1.6%のみで、詳しさの度合いこそ違うものの、ほとんどの人が液体ミルクの存在を認識していました。知ったきっかけとしてもっとも多かったのは「テレビ」で55.1%。次いで「ベビー用品店で見て」が45.5%でした。

液体ミルクを知っていますか?

(回答数:434)

液体ミルクを知ったきっかけはなんでしたか?

(回答数:334)

◆使いたいシーンは「災害時」が1位 外出、旅行時が続く

液体ミルクを「ぜひ使ってみたい」「機会があれば使ってみたい」と答えた人は合計で97.4%と、ほとんどの人が使いたいと回答。どんな時に使ってみたいかという問いに対しては「災害時」がトップで73.5%。近年、地震や台風などの災害が相次いだことによる、防災意識の高さがうかがえました。

液体ミルクを使ってみたいと思いますか?

(回答数:434)

どんなときに液体ミルクを使ってみたいですか

(回答数:423)

◆好印象の一方で、3割が「価格が高い」と回答

液体ミルクに対する印象としてもっとも多かったのは88.5%の人が選んだ「時間・手間がかからない」。以降「常温保存できる」(77.6%)、「子どもが欲しがるときにすぐ飲ませられる」(51.2%)、「外出や旅行をしやすくなる」(51.2%)が続き、好意的な印象を持っている人が多いことがわかりました。しかし一方で価格面は気になるようでじつに3割超(33.2%)の人が「価格が高い」と回答していました。

液体ミルクに対する印象として、下記の中で当てはまるものを選んでください

(回答数:434)

◆7割がスーパーやコンビニでの取り扱いを希望

液体ミルクを売ってほしいと思う場所(実店舗)については「薬局・ドラッグストア」がトップで84.6%。続いて「スーパー」(68.0%)、「コンビニ」(65.9%)、「ベビー用品店」(63.8%)が選ばれており、利用頻度の高い店舗で液体ミルクを取り扱ってほしいという意向が伝わりました。なお、約半数(49.5%)の人が選んだ「高速道路のサービスエリア」では〈市場概要〉の項でもお伝えしたように2019年9月から全国60カ所のSA・PAで販売が開始されています。

インターネット通販以外の実店舗で、液体ミルクを売ってほしいと思う場所があれば教えてください

(回答数:434)

その他の調査結果

液体ミルクを使いたくない理由を教えてください

(回答数:11)

自由回答(一部抜粋)

「先の台風などの避難中に液体ミルクがかなり役立ったという情報を聞いて、いざというときに備えたいと思った」(東京都/20代/第2子)

「どんなときに液体ミルクを使ってみたいですか」の問いでも「災害時」を選ぶ人が多かったように、液体ミルクを災害時の備蓄用にしたいという声は自由回答でも多く見られました。

「常温でも乳児は飲むのか不安」(宮城県/20代/第2子)

「温めるのが普通だと思っていたが、常温でいいのかどうか、ぱっと見てもよくわからなかった」(
福島県/20代/第1子)

液体ミルクは温める必要なく常温のまま授乳できるのですが、そのことに対する不安の声も多く上がっていました。粉ミルクはお湯で調乳するため「乳児用ミルクは温かいもの」というイメージが強く、それを払しょくするには少し時間がかかるのかもしれません。

「やはり値段が割高なのが一番気になる。 もう少し安ければ積極的に使用したいと思っている」(広島県/30代/第1子)

価格について言及しているコメントも多数ありました。ご回答を寄せてくださった皆さんの多くが「もう少し安ければ…」と考えていることが伝わってきました。

「粉ミルクを販売しているすべてのメーカーさんが液体ミルクも販売している訳ではないので、粉ミルクと同じブランドの液体ミルクをあげられないことが気になる。外出先で使いたいのに味が変わると子供が飲まず、結局二度手間になるのではと不安。 また、少しでいいのに一度開封すると残りを持ち運べないので捨てるしかなく、非常にコストパフォーマンスが悪い。せめて100mlとか、もっと少量パックを作って欲しい」(神奈川県/30代/第2子)

「ペットボトルでの販売が今後可能になるか気になります(兵庫県/30代/第1子)

「哺乳瓶に移し替えなければならないので手間がかかるので、哺乳瓶入りの液体ミルクがあれば便利だと思う」(東京都/20代/第1子)

「液体ミルクの封を開けて移し替えるのが手間なので、そのまま哺乳瓶の乳首と接続、または使い捨ての乳首があれば便利だと思った(和歌山県/30代/第1子)

現状の商品に関する不満や懸念、意見も見受けられました。容量については明治が240ml、グリコが125mlという2パターンのみのため、帯に短し…という状態になっているようです。なお、「哺乳瓶に移し替えるのが面倒」という点については先日、紙パック飲料に装着可能な外付け乳首が発売されたため、それを使うことで解決できるかもしれません。

発売開始から半年、今後の展開に期待

本調査の結果や市場動向から、消費者が液体ミルクについて強い興味と期待を抱いていることがうかがえました。今後参入企業が増えることで商品の選択肢が広がり、消費者にとってさらに安心かつ便利になっていくことが期待されます。
液体ミルクは日本で発売が開始されてから半年強が経過したばかりです。今後の展開に注目していきましょう。


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