働くママの在宅ワーク・子連れ出勤や出社に関するアンケート

監修

光畑由佳さんモーハウス代表/子連れスタイル推進協会代表

東京大学大学院客員研究員。産後の新しいライフスタイルをテーマに、子連れ出勤に20年以上取り組んでいる。著書『働くママが日本を救う!』(マイコミ新書)

公式サイト

日常が少しずつ戻りつつある今、今後の働き方、過ごし方を、どう変えていくか、考える時期に来ています。今回は、緊急事態宣言中を中心とした、働く妊婦さんや働くママの「在宅ワーク・子連れ出勤や出社に関するアンケート」を、モーハウス代表、子連れスタイル推進協会代表であり、東京大学大学院客員研究員の光畑由佳さんと共同調査をし、調査結果についての解説を光畑さんに寄稿いただきました。

2020年07月10日公開

調査概要

全国364名の妊婦さん・子育てママの「子連れ出勤・在宅ワーク」

2月、新型コロナウィルスの感染を防ぐために、とつぜんに休校措置が決まり、多くの子どもたちが家にいなければならなくなりました。多くの会社が在宅勤務を推奨するようになり、しかも自粛要請のため保育園も利用できない方も増えました。この状況の中で、多くの方が家の中で家族、とくにお子さんと一緒に過ごしながら仕事をする、という、これまでになかった体験をされました。

つまり、ここ数年、ときたま話題となる「子連れ出勤、子連れワーク」を、突然多くの方がやらざるを得なくなってしまったわけです。その中で、どんなことを皆が感じてきたか知りたいよね、というのが、今回の調査のきっかけです。

少し子連れ出勤に関してお話ししましょう。実は筆者の会社では、長年子連れ出勤をOKとしています。筆者の会社の場合は、多くは赤ちゃんの時期に、この制度を使っています。保育士が付くわけではないので、自宅で赤ちゃんを見るのと同じように、抱っこしたり授乳したりしながら、仕事もしています。

皆が慣れているためでしょうか、この働き方で困る場面というのは思いのほかありません。ただ、私も時々履歴書を見ることがあるのですが、その書類を見ただけでも、ちょっと厳しいかな、と思うことがあり、その予想はだいたい的中します。それは、ご本人の能力とか、お子さんの性格にはあまり関係ありません。たとえば仕事の種類。仕事の量。お子さんの月齢。たとえば3歳の子を初めて会社に連れてきて、いきなり締切間際の原稿を書く仕事をお願いしたとしたら、たぶん、うまくいきません。

当たり前と言えば、当たり前。でも、子連れ出勤と言うのは、簡単なようで、簡単じゃない、ということです。

さて、今回のアンケート、妊娠中~2歳児のお子さんを持つお母さんにお願いしました。実は、「父親なんだけど、アンケート参加していい?」とか「もう子どもが大きいけど答えたかったよ!」という声もたくさんいただきました。そうですよねー、お答えいただきたかったです、すみません。そんなニッチな制限の中、全国から364名の方が回答くださいました。

コロナ禍で2人に1人のママが、子どもを自分で見ながら仕事

まず、在宅勤務をされている方のうち、保育園などにお子さんを預けず、自分で見ながら仕事をされた、いわゆる「子連れワーク」をされた方は、どのくらいいらっしゃったのでしょうか。妊娠中の方を除くとなんと55.5%。2人に1人のママが、お子さんを見ながら仕事をしていた、という状況だったのですね。

仕事のはかどり具合は?

みなさんの、仕事のはかどり具合はどうだったのでしょうか。お子さんが一緒だと、何となく大変そうですよね。 「ほとんど仕事にならない」「出社しているときの40%くらい」と言う方があわせて60%以上でした。予想以上にパフォーマンスが低いと思われた方も多いのではないでしょうか。

一方で、「出社しているときの80%くらい」と言う方も2割程度いらっしゃいます。私の会社での体感は、慣れた人だと80%以上のパフォーマンスは十分ある感じ。慣れや、仕事の種類、量による違いかもしれません。

仕事をしながらの子育て、9割が「子どもの相手が十分にできない」

仕事をしながら子育てする際の困りごとは、どんなものがあるでしょうか。

一番多かったのは、「子どもの相手が十分できない」の89%でした。2位の「仕事に集中できない」も82.2%と多いのですが、3位の「子どもがテレビやゲームの時間が増えて不安」(67.1%)と合わせて、子どもに対する申し訳なさや不安が上位にランクインしています。親としての子どもへの思いと、それが完璧にできないジレンマを感じます。

ちなみに、1位と2位は、今回のアンケートの全体で見ると逆転して、「仕事に集中できない」がトップになります。

とはいえ、子どもの時間が増えたことが嬉しかったママも多数

では、逆に、どんな面で、子連れワークをして良かったと感じているでしょうか。

「子どもと一緒にいられる時間が増えた」が約70%、「子どもの成長が見られる」が60%近くと、子どもと過ごせる時間を大切にとらえる声が多いことがわかります。

確かに、我が子を保育園に預けるとき、預けてほっとする反面、離れるさみしさを感じる方は多いのではないでしょうか。両方の感情が母親にはある。当たり前といえば当たり前ですが、私たちは時に、その感情を忘れてしまうことがあります。どちらの気持ちも本当で大切、ということを忘れずにいたいものです。

その他のコメントとしては、

「育休からの復帰と在宅勤務が重なったので、自分の社会復帰へのリハビリになる。」

といったものもありました。

例えば、子どもにとって保育園入園という大きな変化を穏やかにするために、子どもには慣らし保育を行います。考えてみたら、仕事への復帰も両立という要素があるという点では、同じように大きな変化。穏やかにスタートすることで、仕事復帰へのリハビリになる、というのは、親にとっても子にとっても無理がないのではないでしょうか。

ママたちの知恵と工夫の秘策がずらり!

ちなみに、子どもと過ごす在宅勤務でどんな工夫をしているのかフリーアンサーで聞いたところ、こんな声が複数。

「コツが、あれば教えてほしいです…(1歳4か月、フルタイム)」

本当にそうですよね。

皆さんの苦労がうかがわれます。

お答えいただいた中で多かったうちの一つは、「子どもが寝ている間に仕事をする」と言う声。

「ありません。子ども見ながらの在宅勤務は無理です。夜子どもが寝てからやるしかないですが、夜泣きとかで起きたりするので集中できません。(生後12か月、自営・フリーランス)」

「子供が寝てから仕事をするしかありません。日中仕事ができていないので残業申請できるわけでもなく、辛いです。(2歳3か月、時短勤務)」

 

子どもが寝てる時間にそーっと仕事をする。でも、ちょっとしたことで起きてしまう。ご経験ある方も多いですよね。大人の「起きないで―!」「早く寝てー!」という気持ちが強いほど、どういうわけか、子どもは起きてしまうし、寝てくれない。不思議ですよね。

 

寝ている間、という方の中には、こんな声もありました。

「こどもと同じタイミングで寝て、深夜2時~3時に起きて家事とPC作業を朝までに終わらせると、朝から子供達のペースに合わせて動ける。(1歳二か月、自営・フリーランス)」

これももちろん大変だし工夫しながら乗り切っている感じですが、一緒に寝てしまう、という方が、少しストレスが少なく済みそうです。まずは自分の気持ちが楽になる方法を選ぶのも大事なポイントかもしれません。

 

もう一つ、比較的多かったのは「子どものための時間を短時間でも取ると、逆に仕事がはかどる」という声。

「子どもがグズった時、遊んでほしい時は、相手をした方が早く満足してもらえて結果仕事ができる。(2歳0か月、フルタイム)」

なるほど、そういえば私たちの会社も、子どもがおなかがすいたり、おむつがぬれたりしたときは、赤ちゃん優先にした方が良いよ、とスタッフにアドバイスしています。自分を大事に、というのと矛盾するようですが、どちらも大切なポイントだと思います。

ちょっと似ていますが、上の子がいるとこんなこともできるというのが、こちら。

「上の娘がちょうど小学校入学だったので、時間割を決めて、宿題の時間と下の子供のお世話をする時間と分けてお願いすることで、上の子に下の子を見てもらえる。 特に会議やセミナーなど乱入されたくない時間に合わせてお願いしておく。(1歳8か月、フルタイム)」

ちょっと大きいお子さんであれば、役割を与えてあげるのも良い方法ですよね。

子どもたちが自由に動けるようになると、その成長は嬉しいものの、子連れワークではで悩ましい時期です。

「バリケードを作ってパソコンなど、触られたら困るモノは触らせないようにする。(1歳二か月、時短勤務)」

「PCを棚の高い所へ置いて、立って作業。運動不足の解消にも。(生後10か月、自営・フリーランス)」

皆さん、大変ながらも工夫して乗り切ろうとしている様子がうかがえますね。お子さんの発達段階や環境によっても異なる部分はありますが、これは楽できそう、という方法は参考にしてみてください。

今後はどんな働き方をしたい?

さて、新型コロナの流行が落ち着き、日常が戻ってきたとき、どんな働き方をしたいと感じているでしょうか。

今回急に始めざるを得なかった子連れワークには、これまで見てきたように、困りごともたくさんありました。「もう二度とやりたくない!」と、子連れで働くことにネガティブな感情を持っている方も多いのではと予想しました。しかし、今回「子連れでの仕事は避けたい」という回答は30%。「なるべく避けたい」と言う方と合わせて50%にとどまりました。

一方で、「たまにならいいと思う」と比較的ポジティブな回答をした方は40%近くで、積極的に「続けたい」という5%の方と合わせると45%。50%よりは少ないものの、子連れ出勤を今後はしたくない人、たまにはしたい人、ほぼ同数に近い、という結果でした。

子どもの数と、子連れ出勤志向が関係!?

最後に、ちょっと面白いデータをご紹介しましょう。

お子さんの数によって、今後子連れ出勤を希望する傾向に違いがあるのでしょうか?

実はあるのです。

 

子どもの数との関連で思いつくのは、子どもが多いと大変そうだよね、ということではないでしょうか。ところが、なんと結果は逆でした。

 

お子さん一人の場合は、「避けたい」という人が一番多くて41%。これがお子さん二人の場合は「なるべく避けたい」がいちばん多くなります(42%)。ではお子さん3人の場合は、と言えば?なんと「たまにならいい」と言う方が72%と最も多くなります。

 

子どもの数が多いと、その分大変になりそうに思えるのに、結果は逆。この結果をどう解釈するかはそれぞれですが、例えば、上の子が下の子を見てくれる、かっこよく言えばエコシステムができる、というのも理由の一つでしょう。何人も子育てを経験することで、「ほどほどな子育て」が自然とできるようになるのかもしれません。また、「マルチタスクスキル」が上がってきているのかもしれませんし、あるいは、多少大変でも、まあいいか、可愛いし、という心境になるのかもしれません。子育てへのプレッシャーが低くなってくるのでしょう、友人がよく言っていました。「子どもも3人目になると孫の心境になるのよね」と。

 

いずれにしても、子育てと仕事の両立はたいへんには違いありません。でも、仕事と子育て、すべてを別々に切り分けるのはなかなか難しいものです。どうしても切り分けられない瞬間もあるでしょう。そんなとき、どうせなら、少しでも楽に子連れワークをこなしたいですよね。

このアンケートの結果をヒントに、ふだんから、一人目のお子さんであっても、三人の子の母親のような、「まあいいか」という心持ちで子育てをする、あるいは近所のお子さんや近くに住むご両親との関係性を築いておく。こんな心持が、いざという時を助けてくれるのではないでしょうか。

まとめ

今回のコロナ禍で、多くの方が、仕事と子育てを切り分けられない経験をされたことがわかりました。おそらく、子育ての負担だけではなく、家事の負担や、夫との不公平感といったストレス、慣れないオンラインでの仕事そのもの、さらには感染から家族を守らなくてはならないというプレッシャーも相まって、実際以上のストレスがあったことでしょう。

たいへんな経験ではありましたが、その中でも、すべての方が、良かった点も選ばれました。試行錯誤されながら過ごした今回の経験から、何か一つでも、これからの子育てや生き方、仕事の仕方へのヒントを見つけていただければ、と思います。

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